「はじめまして! 三島 聖(みしま せい)と申します」

ようやく再就職を果たした私は、出勤直後にバックヤードで元気よく挨拶をして、ペコリと頭を下げる。

「はじめまして。店長の坂下 公平(さかした こうへい)です」

そう言って低い声で挨拶した彼は、高い位置で優しい笑みを浮かべた。

この人、何センチあるんだろう?

今まで私の周りにはいなかった高身長の彼を見上げながら、ついそんなことを思ってしまう。

「とりあえず、まず、これが制服。1人で着られるんだよね?」

彼に渡されたのは、小豆色の色無地と長襦袢、帯などと必要な小物一式。

「はい。大丈夫です」

私はそれらを受け取ると、奥の更衣室へと案内された。

畳敷のその小部屋で、私は素早く身支度を整える。