愛した女の行方

「なんだそれ……無茶苦茶だろ」

本人が言ったわけじゃないが、結貴はきっと、ずっと女の子になりたかったのだ。今まで自分を押し殺していたのだ。

許せなかった。結貴に理想を押し付ける、結貴の父親が。

「俺がお前の親父さんに言ってやる」

「……なんて?」

「こんな真似は許せないって」

「いいよ、そんなことしないで」

「でもお前……!」

「いいんだってば!」

外では雨脚が強くなっている。

結貴は雨の音に負けないよう、はっきりとした声で言った。

「仕方ないんだ。おれが……おれが後を継がないと、榊葉組のみんながバラバラになるから……」

結貴は震えていた。

「ごめん、明。おれもう帰る。こんな話聞かせて、ごめ――」