「キョロキョロするな。みっともない」 「な……」 みっともないのは、どっち? 並びもせずに案内してもらおうなんて 図々しいにもほどが―― 「手、どけてよ」 「こうか」 余計抱き寄せるな……! あまのじゃく! 「オーナー。赤星様がおみえです」 …………ん? 「これはこれは」 スーツ姿の中年男性が奥からやってきて、赤星くんに頭をさげている。 「お久しぶりです。ぼっちゃん」 ぼっちゃん? 「こちらから招待しようと思って――」 「無駄話は控えろ」 「すみません。さ、どうぞ」