「到着しました」
も、もう着いたの!?
車が停車したのは――……
「降りろ」
誰が見てもオシャレなカフェの前だった。
一人じゃとても入れる雰囲気ではない。
あれ。
ここって…………
「レイくんのバイト先?」
思わず声に出してしまった、そのとき。
「……オマエ」
アイツがわたしの腕をつかみ、ぐっと顔を近づけてくる。
近すぎ……!
はなして!
「すでに毒牙にかかったか」
「い、意味わかんないこと言わないで」
「入るぞ」
「え?……でも」
入口の前には行列が。
「順番抜かしちゃ……いけないし」
会社帰り風のOLさんや、おそらくデート中のカップルが並んでいる。
予約もなしに入れるわけない。
そもそも、赤星くんと入りたくなんて……
「ダイフクに拒否権はない」
あるよふつうに! ぜったいある!


