どこかで聞いた声がした。
……それも、ごく最近。
わたしのことを名前でちゃんと呼んでくる男子なんて限られている。
まさか。
まさか――……
「こんなところでなにしてるの」
顔をあげると目の前に立っていたのは、
「さわやか……くん」
さきほどカラオケ屋さんで一緒にドリンクをくみに行った、あの男の子。
「さわやか? 僕が?」
はにかむ黒髪男子。
うむ、やっぱりさわやかすぎる。
「……おひとり、ですか」
まわりに人がいるようには見えない。
「あのあと、各自で楽しむって雰囲気になってたから」
「なるほど。カラオケの次は、みんなで卓球!……みたいな流れにはならなかったと」


