――――オモチャ?
「けっこうです」
あの頃のわたしは弱かった。
……ううん。
今だって、全然強くない。
勉強できる方じゃないし。
要領悪いし。
走るのも……遅い。
強がってるだけ。
ほんとはめちゃくちゃビビってる。
でもね。
「可愛がるのもオモチャにするのも赤星くんがときめくものにして!」
そんなわたしでも、それなりに成長した。
昔みたいに泣いてたまるか。
赤星くんの思い通りにさせるもんか。
「いっ」
まだはき慣れていないローファーで、アイツのすねを思い切り蹴ってみせる。
すると、
「……て」
不意打ちだったのか、もろにくらったアイツがひるんだ。
そのすきに全力疾走。
たぶん、人生でいちばん走った。
走った。
走った。


