「まあ……でも……助けてくれて、ありがとう」
やっぱり一度だけ言っておく。
もう言わないよ。
「ダイフクをめちゃくちゃにしていいのは俺だけだ」
味方(?)につける相手完全に間違えた。
ユイカちゃんを敵にまわし続けるのも嫌だけど、どっちに転んでも地獄だった。
「どうやって……わたしのピンチに気づいたの?」
赤星くんは、なにも答えずに窓の外を眺めている。
そこはテラスになっていて、小さな子供を連れた家族がしゃぼん玉で遊んでいた。
「あの場所……わたしがユイカちゃんたちに捕まった校舎は、用事のある人しか通らないのに」
「成瀬を覚えているか」
「え?」
どこかで聞いたような名前。
どこだっけ……
「カラオケ屋にいたろ」
そうだ! チャラい茶髪のひと!
「成瀬は女子との繋がりが無駄に多い」
見たまんまだな。
「そこから仕入れる情報は様々だ」
「情報?」
「たとえばオマエの学校では、どんなことが話題にあがっているか、という情報」
「……もしかして、わたし?」


