男の子が、手際よくドリンクを注いでいく。
わたしが頼まれたのに……!
「全部やらせてごめんなさい!」
「さっきなにを迷ってたの?」
「それは……ココアとミルクティー、アイスかホット聞き忘れちゃって」
ドジって、思われたかな。
「アイスかな」
「……え?」
「のどかわいてそうだったし。カーディガンも脱いでたから。冷たいのがいいんじゃない?」
言われて思い返すと、そんな気がしてきた。
このひと……
わたしとちがって周りをよく見てる。
みんなの注文を完璧に把握してるのすごい。
さすが秀才。
一度聞いたら忘れない、とか。
そんな感じ……なのかな。
ならばテストの暗記も余裕?
脳みそ交換してほしい。
「まだ迷ってる?」
「あ……ココアはココアでも、なんか……イロイロある、みたいで」
「なるほど」
男の子が躊躇うことなくドリンクバーのボタンを押す。
選んだのは苺のココアだった。
「ど、どうして苺なんですか?」


