振り返り、顔をあげると
「操作わかる?」
背の高い黒髪の男の子が、わたしに微笑みかけてきた。
ユイカちゃんの友達さんの友達さん……
のはず。たぶん。
部屋が薄暗かったせいかな、明るい廊下だと受ける印象もちがう。
さわやかくん。
…………誰、だっけ。
自己紹介聞いたはずなのに名前わかんない。
ごめんなさい。
「その……制服」
どこかで見たことあるような。
でも、学ランってどこも似てたりするし。
気のせいかな。
「青高だよ」
「えっ」
アオコウって、あの、進学校の……?
偏差値めちゃくちゃ高いとこ。
噂に聞いたことはあっても、アオコウの生徒を生で見るのは初めて。
「驚いた?」
「……みんなチャラチャラしてたから」
眼鏡かけた優等生じゃなかった。
「はは。正直だね、おおふくさん」
なまえ、覚えてくれてる。ビックリ。
笑顔ほんとすごくさわやか。
清涼飲料水のCM出てそう。
「あっ……でも。あなたは。ちがいます」
「へぇ」


