「…は、る」
…一周回ってきたのか急に恥ずかしくなってしまった私は無表情のまま顔だけ赤くする
手を退けようと少し動かす
すると
っ!?
すりっと猫のように、私の手に自分の頬を擦り寄せた響紀さん
思わず身体中の力を入れて硬くなる
「…ありがとう…晴」
そのまま、私の手を覆うように上から響紀さんの手が重なる
そしてもう一度自分の頬に当てた
「ひ、びきさ…ん」
「…」
謎の沈黙
お互いの目線が絡まるだけの時間
心臓が派手な祭囃子をあげているのか
ドカドカと慣れない音が聞こえる
ああ、まずい
これ以上この人と一緒にいると
戻れない感情に気付いてしまいそうだ
やかましい鼓動とは裏腹に静かな夜が更けていく
またね
と優しく笑ったその背中を見送って満月の夜を歩いた


