今夜もあなたと月、見ます。



「はい、お着き」

前回同様、駅で降りる

「ありがとうございます」

バイクを降りて向き直る


「…なぁ晴」



「はい」

「…その…もし少しでも怪しいと思う奴に絡まれたらすぐ俺の名前使って」

え、どういうこと?

「…いや、ちょっと厄介な奴に目をつけられてるかもしれないから」

さっきもちょっとだけ見た険しい表情になる

厄介な奴?

「…何もないといいんだけど…」

顔が怖い

光のなくなった目と眉間による皺

何かあったのかな…


急に纏うオーラを変えてしまった響紀さん

唐突に遠い存在になってしまったような気がした

それがなんだか寂しくて、思わず手を伸ばす

「…え」

「大丈夫ですか?」

頬に触れるか触れないかのところで手を止める

目を丸くした響紀さんと視線が交わる

「私は大丈夫ですよ。ちゃんと自分のことは自分で守りますし、いざというときは正しい判断をします」

そんな怖い顔しないで


私なんかではきっとなんの力にもなれないだろうけど

それでも

「もし、私が何か力になれるのであれば力になりますから」