あ、そんなことより帰らなきゃ
ふと月から携帯の画面へ視線を落とす
21時24分
高校生は22時までには帰らなきゃね
これ以上ここにいたら遅くなってしまう
まあ…別に誰も構わないけどね…
「私、そろそろ帰ります」
私の言葉に
月の光を受けたまま、彼が向き直った
「送ってあげるよ、店員さん」
…え?
「絡まれて逃げてきたんでしょ?1人で帰るのは危ないよ」
う…それは確かに
でも名前も知らない、数分話しただけの私を送ってくれるなんて優しすぎないか?
「でも…」
「この場所を見つけた好にさ。甘えておきなよ」
…じゃあ
「お願い…します」
本当はこんな危ないことダメだとわかってる…
それでも
この人なら大丈夫だという
謎の自信が…あった
やっぱり不思議な人


