今夜もあなたと月、見ます。



「だって、響紀さんだから」

怖くなんかない

ちっとも

「怖くなんかありませんよ」


そう思う根拠を言えと言われたらはっきり答えてやれる
そのための語彙も因果も全部ある

でも

きっと言わなくなってこの人には伝わる

私が心からあなたを怖いだなんて思っていないことも


「…そっか。うん…そっか」

ふっと力が抜けたように笑った

「俺が暴走族の総長でも喧嘩しまくってるヤバい奴でも、こうやって会ってくれる晴は…俺をどう思ってるんだろうって気になっちゃって」




「もったいない質問しましたね」

「…え?」

だって会うたびにたった一つしか質問できないのに

「そんな当然のことに貴重な一回を使っちゃうなんて」

にっと歯を見せて笑ってやった


「響紀さんが総長なのも喧嘩人なのも、ついでにロマンチストだってことも全部知った上で、私は今ここにいるんですよ」

「…」

「そんな当然のこと聞かないでください。
もっとなんかなかったんですか?アレルギーある?とかそういう需要のある質問」

「アレルギーの確認は需要あるの?」

「まあ、あるんじゃないですか?」


「…ふは、ふふ」

ぽろりと笑いをこぼす

「あっははは!」

へ?

今までにみたことないような力の抜けた表情で彼は笑った