「だって、響紀さんだから」
怖くなんかない
ちっとも
「怖くなんかありませんよ」
そう思う根拠を言えと言われたらはっきり答えてやれる
そのための語彙も因果も全部ある
でも
きっと言わなくなってこの人には伝わる
私が心からあなたを怖いだなんて思っていないことも
「…そっか。うん…そっか」
ふっと力が抜けたように笑った
「俺が暴走族の総長でも喧嘩しまくってるヤバい奴でも、こうやって会ってくれる晴は…俺をどう思ってるんだろうって気になっちゃって」
…
「もったいない質問しましたね」
「…え?」
だって会うたびにたった一つしか質問できないのに
「そんな当然のことに貴重な一回を使っちゃうなんて」
にっと歯を見せて笑ってやった
「響紀さんが総長なのも喧嘩人なのも、ついでにロマンチストだってことも全部知った上で、私は今ここにいるんですよ」
「…」
「そんな当然のこと聞かないでください。
もっとなんかなかったんですか?アレルギーある?とかそういう需要のある質問」
「アレルギーの確認は需要あるの?」
「まあ、あるんじゃないですか?」
「…ふは、ふふ」
ぽろりと笑いをこぼす
「あっははは!」
へ?
今までにみたことないような力の抜けた表情で彼は笑った


