今夜もあなたと月、見ます。



ポーン!



瀧本さんが口を開こうとした瞬間、入店を知らせる報知の音が鳴り、二人揃ってレジに向き直る

「いらっしゃいませー」


…私なんであんなこと聞いたんだ?

下の名前がなんだって言うの?




いや、違う

そんなはずはない


脳内で再生される、過去の瀧本さんと桃音、そして横井くんの言葉



『2代目3代目の総長は血縁関係で繋いでるわけじゃないらしい』

『私の彼氏バイク乗り回してるんだけどさ、喧嘩ごとが多くて困っちゃうよ』

『風春くんって言うんだけど』

『確か間宮さんと同い年』

『道枝の下の名前なんてそう簡単に知れるもんじゃないよ。"道組総長道枝"で通ってるから。風組の中でも多分知ってるのは総長だけ』


『もし何かあったら俺に教えてね
 道枝響紀のこととか』


あれ?

やっぱりあの時の違和感って…

「どうしたの?間宮さん」



「いや、なんでもないです」


まさかね

流石に考え過ぎた

暇すぎるとこうだから困る

私のネガティブな妄想癖もなんとかしなきゃな


「……」