今夜もあなたと月、見ます。



「そういえばさー」



不意に声色を変えて、瀧本さんが呟く

「道組の総長も俺と同い年だった気がする」




思わず身体が固くなる

まさかこのタイミングでその話題が出るとは思わなかった

少し緊張して隣の瀧本さんを見る





どういう感情を私に向けているのかわからないけど

いつもの気弱な雰囲気でも、さっきまでのニヤついたからかいの雰囲気でもない

少しの余裕と、胡散らしい空気を持った、見たことない表情がこちらを見ていた


な、なんの表情なの?

何を考えてるの?

何故か今まで感じたこともない悪寒が、背筋を撫で上げるみたいに走った

思わずブルっと小さく震える


「…な、なんですか?」

「んーいや?なんでもないよ」


にっこり…と

どこかで見たことあるような、ないような

喜怒哀楽の分かりづらい作られたような笑顔を貼り付けている


…あれ?

待って

瀧本さんって


「あの、瀧本さんって」

「んー?」

「…下の名前なんでしたっけ…?」

「…」