裏社会のまた裏から依頼した殺し屋だ

男はニヤッとすると全員戦わずその場を後にした

どうして…

私を裏切った…

私はその場に腰を抜かし彼の膝の間に座らせられる

こんな冷酷卑劣な奴に…

大きな胸板を手で押し付けリビングに行き包丁を手にする

男に向けると無表情のまま止まることなく、近づいてくる


涙が出てきて止まらない

『近づかないで!』

止まらない男に諦め、ナイフの刃をジブの首に向ける


こんなと男に初めてを取られ、この先も一緒なんて死んだ方がマシだ

最初からこうすれば良かった

ナイフが首元をすこ切りつけ痛みで血が流れているのを感じる

「サナ、お前の兄、郁の死因を知りたいか?」

その言葉に少し手が緩むと男がナイフを奪い取り元の位置に戻す

『死因は?』

男がニヤッと微笑む

「タダでは教えない」

その視線が唇に注がれた

でもキスなんてしたくない

背の高い男のネクタイを引っ張り肩を持つと右肩に強めに吸い付く

唇を離すと男の首に赤い花が咲き男は妖麗に微笑む

「情熱的だな」

あなたがこれを望んだんでしょ…と思いながらも溜まっている涙を堪えながら強く睨みつける

「早く教えて…」


「仕方ないな…、お前の兄は姉に溺れたんだ。他の男を相手にする姉を見て壊れたんだよ。」


そんな簡単に…言い捨てて
肝心な部分は何も言っていない

兄はボロボロの状態で死んで帰ってきたというのに

歯を噛み締める

『それでどうしてああなったのよ!』


「お前の兄が姉を殺そうとして、姉を殺したと思って自分も自害したんだよ。その後怒り狂った姉にボコボコにされた。これが俺の知ってるる全てだ」

『ヴヴヴッ…』

その場にしゃがみこみ涙を流すその時ノックがして父親達がインターホン越しに澪と話している


何も聞こえない…声を殺しながら泣く


男は戻ってくると私を抱き上げるとワンピースを脱がしてバスルームに入れられ薔薇の入った湯船に付けられる

泣き続けている私を無視して男は洗い続けて終わると私を湯船から引っ張り座らせると髪の毛を洗われスポンジで体まで洗われた


一緒に湯船につからされるけどまだ涙は止まらない…

この男重大なことをやはり言わない

私は黒瀬の家へ怒鳴りに行った時使用人達が噂しているのを聞いた

自害したんじゃなくて、組長から命令されこの男が手を下したと

湯船から出てタオルで拭き取るとバスローブを着せられる

手を引かれるままソファに座らされるとコップに水を入れた物を私に渡して

髪の毛をドライヤーで乾かされる

私の髪の毛は腰まであるため乾かすのには時間がかかる

この後のことを想像すると怖くて

この時間が長く続いて欲しいと願う

どうせこの男と結ばれなくても…あの父親はほかの男に嫁がせる

結果は同じだ

ひとつ違うのは兄殺しと言うだけだ

髪の毛を乾かし終えると自分の髪の毛を乾かし始める金髪のサラサラの髪の毛がセットされていないのを見るのはこれが初めてだ

男は直ぐに乾かし終えると私を抱き抱えベッドまで来ると自分のバスローブを脱ぎ捨て、私のバスローブを脱がし押し倒される

ジーッと全身男に見られる

「綺麗だ…」

全然嬉しくない

男がそう一言言うと乗りかかり全身にキスを落とす

最初は優しくされたが痛くて怖くて抵抗する私に中盤あたりからは激しくさせられ、

何度も意識が飛びそうになる私を深くて甘いキスをして、時には太もも肩に噛みつき呼び戻した

もう朝だ…明るくなってきてようやく眠りにつける

男に抱き寄せられたまま抵抗せず目を瞑る

お昼の12時…ばっと、起き上がる


今日は学校はない土曜日だから

横に目をやると男は居なくて立ち上がろうとすると腰が痛くて起き上がれなかった

でもそれよりも、酷く孤独を感じ何故か怖くなった


人の体温が恋しい

誰かにそばにいて欲しい

酷くそう思うようになり


バスローブを着て痛い腰を無理やり持ち上げ玄関の扉を開けるとそこにいたあの男、澪の側近である確か花咲 優

「サナ様?!」

驚いた顔のままの彼に抱きつく

洗剤の匂いがする

いい匂い

彼はびっくりして私を突き放そうとするけど

顔は顔から耳まで真っ赤になっている

可愛い…癒される

腰が立てなくなって力が抜けそうになり彼が抱き抱えるとギュッと抱きつく


「そんなに引っ付いてはなりません!」

『…』

私に視線を向けないように部屋に連れ込もうとした時

エレベーターから戻ってきたあの男(澪)に私を渡そうとするけど

何故か離れがたくて彼に抱きついたまま無意識で首元に回している腕を強める

「おい」

どぎつい声がしてパッと力を緩めると男の腕の中に収まる

部屋の中に入るとベットに押し倒され顔の横のベッドに思いっきり拳をぶつけ

怖くてぐっと目を瞑る

「あいつが好きなのか」

その言葉に何も答えないとあの男はいとも簡単に殺されるのだろうか

もうそんなことは今はどうでもいい

男のシャツを引き寄せると男が近づく

そのまま背中に手を回して抱きしめる

『起きたら独りだった…』

そう言い抱き寄せると


少し起き上がり驚いた顔で私の顔をジーッと見る

「あぁ…悪かった」

この世の全てが怖くて、誰かに傍にいて欲しくて恨んでいるはずのこの男に縋り付く


どしてだろうか私はおかしくなっている


そのまま少し時間が経つと横にはまだ男は眠っていたもう夕方の4時だ

この男はまだ4時間ほどしか寝ていないはず

目を開けて横で眠る男に視線を向ける

透き通った陶器のような綺麗な肌
サラサラの輝くような金髪
筋の通った鼻筋
ガタイのいい大きな体に185もある身長
今は分からないが長いまつ毛に二重の切れ長の赤い燃えるような赤い瞳
誰が見ても目を奪われる容姿だ

この全てが嫌いだ


この男を殺してもこの世には悪は多い

キリがないんだ…

あぁ、殺したい…

誰か私を殺して…

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そのあとシャワーを浴びて身体が悲鳴をあげていて横になってそれから、気づかないうちに二度寝をしてしまっていた


夕方の6時になり彼は起きるとまた眠っていた私を起こす


髪の毛をすくい上げ甘いキスを落とす

「夜ご飯にしようか、もう少ししたら頼んだものが来るから」

私はまだ少し痛い腰を起こしてソファに座る

バスローブ姿の私を気遣ってか男は玄関まで行き、食べ物をカートのまま持ってきた

なんでこんなに注文したのだろう

ほとんどが果物だけれど

男は全てソファの前の机の上に並べる

1番近くにあったスープに手をつける

学校でお昼を食べた時から何も食べていなかったからお腹は空いていた

スープを飲み終わると、ガッツリしたものは食べる気がせず色んなことフルーツをお皿に容れて口を進める


男はそんな私をコーヒーを飲みがらただ見るだけ

「明日出かけるか?」


少し優しくなったこの男に不信感を覚える

いつから私に選択肢を与えるようになったのだろう

この男が優しいはずがない

アイツらと同じ血が流れているんだから


これまで何もかも間違っていた


『家に返して…家に帰りたい』


「ダメだ」

やっぱり私には選択肢なんてない

この男にとってはただの奴隷で性処理の道具でしかない

何も私は思い上がって弱気になっていたのだろう

立ち上がり1人でベッドに潜り込むと、男はシャワールームに向かって行った

その間に眠りにつく


だが、眠れなくて男がシャワールームから出てきても眠っている振りを続けた

ベッドがギシッという音がして、息を飲みそうになるのを堪える

「眠ってたら、手を出さないとでも思ったのか、お前が起きていることぐらいわかる」

溜めていた息をゴクッと鳴らすと上にいる男と視線が交わり逸らす

首に貼ってある湿布の上からキスを落とす

昨日のことを思い出し顔が真っ赤になってしまう

『明日は出かけるんじゃないの!?身体が持たない』

恥ずかしくて顔を赤らめてながら彼のシャツを握りしめる

「あぁ…」

そう言うとおでこにキスを落として横になり引き寄せられる

昨夜は避妊してくれていたがいつこの男の気が変わるかなんて分からない

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カーテンの隙間から光が差し込む

『ヴゥンっ…』

苦しくて重いまぶたを開けると男の腕が乗っかっていて私を包み込んでいて

足もガッチリ挟まれている

本当に眠っているの?

上にある顔に近づき胸に手を当てる

眠っていたらこの男を思い通りに出来るかもしれない

後継者が死んだら組長はどう思うだろうか?

どうも思わないかもしれない

そもそも復讐は私に何ももたらさない

郁が帰ってくる訳でもない

『はぁ…』

男の方を揺らす

『ねぇ…苦しい…』

そう言うと「サナ…」そう男が呟いた

驚いた…男から名前を呼ばれたのはいつ以来だろう

あの時の一時的な感情が芽生え不快になって

男を無理やり突き放す

男は驚いた顔をして私を見るけど

無視して冷蔵庫に向かい水を呑む

後ろからゆっくり男がやってきて後ろから腰に手を回され方に顔が置かれる

『離れて…』

冷たくあしらう

「なぁ…何か嫌がることしたなら謝るよ」


この男が謝る?

謝るという言葉を知っていたことに驚きを隠せない

「お前…」

思っている事がバレたのか不快げな声を出す男に殴られると思い目を瞑ると首元に男の髪の毛が触れくすぐったいと思った時

チクッと唇を当てられる

あぁ…キスマークが薄れていたからか…

独占欲が強いのは昔から変わらない…

男の髪に触れる…思っていた以上にサラサラだ

男が首に埋めていた顔を私に向けると視線が唇に移り噛み付くようなキスの雨を降らす

腰が立てなくなって男に体を預けると甘い空気が流れ始め焦る

『何時に出るの?』

「あぁ…続きは帰ってからだ」

そう言い捨てると私をソファに座らせると下着とワンピースを袋の状態で渡す

どちらも高級ブランドだ

男刃先に着替えていて私待ちだ

でも着替えをずっと見ることはないんじゃないの?

何度も裸は見られているけれど、ここまで明るくて開放的なところは何故か恥ずかしく感じる

バスローブを前だけ外し男から見えないように黒い下着をつけ、用意された黄色い薄い小さい花柄のワンピースを着る

少し日焼け止めなど化粧をするとその間朝食が届けられ2人で食べる

食べ終わると男に手を引かれロビーまで着くと待機していた車に乗り込む

車の中で清花谷に行くと教えてくれた


海が近くにあって、裕福な人達が別荘を持っている高級住宅街だ

思っていたより少し暑く日差しが強い

まだ4月だけれど私は紫外線に当たると昔からアトピーで肌がダメになる

今日は日傘は持っていない

ここまで日差しが強いとは思っていなかった

アトピーを持たない人からしたら普通の気持ちのいい天気かもしれない

私は近くのお店に男の手を引いて入る

中には女の店員さん達5人がいて全員、隣にいる男に釘付けだ

私に嫉妬しているのか視線は次に私の繋いでいる手に向けられてパッと離す

皆小麦色の肌で胸元を大きく開けた服装のセクシーなお姉さんだ

奥にある麦わら帽子の顎につけるリボン付きのものがあり手に取り被ってみて今日は黄色い服だけどまた使えるように使い回しのいい白を選び、手に取る

気づかないうちに端の方でお姉さんたちに囲まれている男はなにか説明されている

そのうちの一人のお姉さんと目が合うと勝ち誇ったかのように私を見ていたが澪に興味なんてないから嫉妬心なんてわかない

近くにあったアクセサリー売り場に18金のお高めのピアス透き通った紫のキラキラしたスミレの花のピアスを手に取る

同じ形のグリーンの透き通ったものもあり一緒に購入しようと持っていきレジに通す

その時女の人から耳元で囁かれる「彼貰ってもいい?」その言葉に笑顔でこたえる『どうぞ?』


女の人は驚いた顔をして商品を私に渡す

男の元に行かず帽子をかぶって外の方に飾られている綺麗なブーケを眺める

彼は購入売場に行ったから少しだけ時間があると思いスマホを手に取り朱里に連絡を入れておく

朱里が恋しい

そう一言だけ

男が帰ってきてパッとスマホを閉じる

何を買ったのか分からないけど手には何も持っていない

他に愛人がいても私は何も思わない

女の人達は最後まで私を睨んでいた

男は店の前でいきなり私の前に鏡込み少し緩んでいたリボンをキュッと締めると少し微笑む

横からキィーーーという視線を感じるがため息しか出ない



男を私の手を引きまた車に乗り込むとおとこの別荘に入った

白で統一された真っ白な家だ

とても綺麗…

テラスがあって外に出ると海が一面に広がっていた

少しの間テラスでストを眺めてから一旦近くのお店にお昼ご飯をたべた

散歩をしながら近くの海に近づくけど海は少し泳ぐには怖いなと思った

帰ってくると夕方になっていてその景色も綺麗だった…

男が温水プールがあると言って私に水着を手渡した

黒い紐付きのビキニだ

男が送ってくれるものは黒が多いから好みなのだろう

着替えてからテラスにあるプールに足だけつけて座る

思っていたより深そうだから入るのはよしておいた

泳げないから…

泳いでいた男は座っている私の前に来ると私の脇に手を入れ持ち上げるとプールに入れようとする

『いやッ…怖い』
男の肩に両手を置きそのままプールに全身浸かる


男の首に腕を回し抱きつき、肌が密着しているけれど今はそれどころじゃない…

涙が溢れてくる


やっぱり足がつかない

「そんなに怖がらなくても、支えてるから離さない」

1度顔を離して男と向かいあわせになる

男がニヤッとすると体を引き寄せられ唇に熱いものが触れるその口返しに力が抜けて、男の腰に回していた足が緩まり男に抱きとめられる


持ち上げられるとプールサイドに持ち上げられ男も上がると私バスタオルでくるむ

一緒にお風呂に入ろうとされて拒否してさきにご飯を作った

男はお風呂から出てくると交代して私がお風呂に入った

一緒にご飯を食べる誰もいなく海の並の音が聞こえるこの空間に癒される

食器を片付けテラスへ向かう

都会では見れない星が沢山見えた

そう言えば、郁もこうして星を見ることが好きだった

私は正座とかわからなかったが小さい時から沢山おしえてくれた

この時間が地獄に感じてきた

兄は酷い思いをしたのに私はこんなにも幸せを感じていいの?

兄さんは私に何を望んでますか?

でも小説みたいな可愛い幸せな恋愛には私は進めないのは確かだ

後ろから急に腰に手を回されビクッとなる

髪に優しく触れられる

ねぇ?その手で何人を殺してきたの?