それからざわざわとその額に驚きで会場が騒がしくなりだす。
そして私も会場の人達と同じように驚いていた。

だがそれは額の大きさに驚いている訳ではない。
その声が聞き覚えのある声だったからだ。


恐る恐る声の主の方へ視線を向ける。


そこには私が知っている声の主よりも随分と成長した声の主の姿があった。


暗い青色のサラサラの髪に仮面により顔が半分隠れているがそれだけでもわかる端正な顔立ち。
私が知っている彼の姿はまだ少年だったが、今の彼の姿は立派な青年だった。
彼と別れて5年、彼は私と同じ歳なので彼の歳も19歳。

姿こそ随分大人らしくなっているが、仮面で顔がわからなくてもわかる。
彼の名前はノア。私が14歳の時にカルマの仕事先で恋に落ちた相手であり、偽りの元恋人だ。



「…っ」



彼はこの国の王子様だぞ!
確かにここは彼の国だがまさかこんな場所にいるとは思わないじゃないか!

あの時と随分違う姿をしている私だが、彼なら私だと気づいている可能性もある。