精霊王の娘

「そんなことか。そんなもの、姫様が呼べばいくらでも来るだろう。それに、ほら」

バーリーが玄関の木戸に視線を向けた。

「ちょうど、姫様に客人のようだぞ」

「お客さん?」

こんな夜更けに誰だろうと、玄関を開けたリリエナは目を丸くした。

「え――、アルバ?」

そこには、真っ白い毛並みの獅子――養父グードと契約をしていた風の中級精霊アルバが立っていた。

リリエナがアルバに駆け寄って抱きつくと、アルバは喉を鳴らして金色の目を細める。

「リリエナ、元気そうで何よりだ」

「うん! アルバも元気だった?」

もふっとした鬣に顔をうずめる。アルバはリリエナが赤ちゃんの時からそばにいて、リリエナは覚えていないが、子守りまでしてくれた優しい精霊だ。グードが息を引き取ってすぐにいなくなってしまって淋しかったから、再び会えてとても嬉しい。

「来るのが遅くなってすまなかった。少し一人になりたかったんだ」

アルバはグードのことが大好きだった。きっと一人でグードを偲んでいたのだろう。

「これで中級精霊問題は解決だな。ほかにも、姫様が呼べば駆けつけてくると思うぞ。……闇の精霊以外、だがな」

闇の精霊は極度の人嫌いだ。水の精霊も人嫌いだが、闇の精霊はそれに輪をかけて人が嫌いだという。だから人前には滅多に姿を現さないし、魔導士と契約することも稀らしい。