精霊王の娘

ないのに、と言いかけたリリエナは、バーリーが慌てて制止したのに気がついたが、一足遅かった。

リリエナの体が一瞬光ったかと思うと、足元から強靭な風が巻き起こって、あっという間に天井に向かって大きな竜巻が伸びる。

「……えっと、あれ?」

リリエナは天井を――、いや、天井だったところを見上げて、ぱちぱちと目をしばたたいた。

ぱらぱらと、その頬に何かが落ちてくる。

「……どういうこと?」

見上げた先には夜空があった。

リリエナが巻き起こした突風により、天井に大穴が開いてしまったのだ。

バーリーが額を押さえてため息を吐いた。

「……姫様にはまず、手加減という言葉を教えた方がいいらしいな」





土の下級精霊たちが大急ぎで家を修復してくれたのち、気を取り直したようにバーリーが言った。

「とにかく、金を稼ぐために魔術具を作るということでいいんだな?」

「う、うん、たぶん……」

リリエナは先ほどのことがまだ信じられなくて、じーっと自分の手のひらを見つめていた。

(魔術……使えちゃった)

ずっと役立たずだと思っていたのに、拍子抜けするくらいにあっさりと魔術が使えてしまった。これは本当に現実だろうか。夢ではないだろうか。ちょっぴり足元が頭がふわふわする気がする。

(わたし、魔術、使えたんだ……)