精霊王の娘

よくわからないまま、リリエナは目を閉じる。バーリーの指先が額に触れたのがわかった。バーリーが触れた先が一瞬だけ熱を持ち、その熱が体の中へ溶けていくようにすーっと消える。

「もういいぞ。これで魔術が使えるだろう」

リリエナは目をあけて、自分の両手を見つめた。特に変わったところはなさそうだが、魔術が使えるようになったというのは本当だろうか。

「バーリー、今、何をしたの?」

「私の魔力をほんの少し姫様の中に流しただけだ。姫様の体の中の魔力の通り道が塞がれていたからな、私の魔力を流すことで塞がれていた通り道を元に戻したんだ」

「……魔力の通り道?」

バーリーが何を言っているのかさっぱりわからなかった。

魔力とは精霊たちが持つ力のことだ。人間にはその魔力がないために、精霊たちに魔力を借りだ魔術を行う。だが、魔力の通り道という言葉を聞いたのははじめただった。

「まあ、深く考えなくてもいいから、ほら、エンリーにでも力を借りて、適当に風でも起こして見ればいいだろう」

「適当にって……」

適当にできれば苦労はしない。

リリエナはあきれたが、エンリーがやる気いっぱいで、手をワキワキさせているので、仕方なくバーリーの言うように風を起こしてみることにした。

「そんな簡単に魔術が使えるはず――」

「ま、姫様、少し待て!」