精霊王の娘

「姫様は、まだ男女の機微には疎いと見える……」

バーリーが心の底から嘆いているのがわかったから、リリエナはムッとした。子供のリリエナだって、結婚は好き合う男女がするものだということは知っている。だからデイジーはどうかと訊いたのだ。デイジーはバーリーのことが大好きだから、バーリーがデイジーのことを大好きになれば万事解決のはずである。

「それに姫様、デイジーは先日、南の国にバカンスに行くと言っていなくなっただろう?」

そう言えばそうだった。「傷心旅行に行く」とか言って旅行に出かけたきり、デイジーはまだ戻って来ていない。

「困ったね」

「だから姫様、勝手に結婚させようとしないでくれ」

「でもバーリーにお嫁さんがいないとアナイスさんが困っちゃう」

「姫様、私は結婚させられそうになって困っているのだが」

「バーリー、そろそろおじさんなんだから、早く結婚した方がいいと思うよ」

「……おじさん……」

無自覚にリリエナがバーリーの心に打撃を与えたところで、こんがり焦がしたパンを食べていたポメが口を開いた。

「アナイスからはバーリーの奥さんに会いたいって言われてないんだから、いることにしておけばいいんじゃないかな?」

「あら、珍しくポメが名案ね!」

ピュアに褒められて、ポメが「えへへ」と笑う。