精霊王の娘

本当はバーリーは仕事ではなく、友人である風の上級精霊セヴァスの住む洞窟に遊びに入ったが、アナイスにそれを知られるわけにもいかないので適当に誤魔化しておく。

セヴァスは、緑の鱗に金色に瞳をした風の上級精霊である。人の姿になったときはリリエナと同じ、緑の髪に金色の瞳をしていた。

バーリーがリリエナの家に半同居をはじめて三日がすぎたころに、こちらもふらりとやってきた上級精霊である。

セヴァスはバーリーのようにリリエナの家で暮らすことはなかったが、たまに遊びにやってくる。彼はリリエナの頭を撫でて「呼べばすぐに駆けつけるからな」とにこにこと機嫌がよさそうに笑う。バーリーにしてもそうだが、随分とフレンドリーな上級精霊だった。

(やっぱりこのお家、おかしいよね? 普通、上級精霊が遊びに来ることってないもんね?)

そう思うものの、彼らがいると淋しくないので、「ま、いっか」とも思う。みんなといると楽しいから、むしろ今では、いなくなられる方が困るのだ。

「リリエナはどこに行っていたの?」

そう言いながら、アナイスがリリエナの髪の毛についていた落ち葉をつまみ上げた。

アナイスはピンクベージュの髪に栗色の瞳をした、おっとりとした雰囲気の優しそうな女性だ。いつも淡いピンクの頭巾をかぶっている。

「アナイスさんにあげるキノコを取りに行ってたんだよ。見て!」