精霊王の娘

(それにバーリー、わたしのことを姫様って呼ぶし……)

リリエナはどこぞのお姫様ではないはずだ。捨てられていたそうだから、本当の家族のことはわからないが、きっと違う。

「ポメが飛びかかってリリエナを転ばせたのよ! さっきは危うく火事になるところだったし、バーリー! 同じ火の精霊としてポメにしっかり注意してほしいわ!」

ピュアがバーリーに告げ口をして、ポメが慌ててリリエナの背後に隠れた。

バーリーはこめかみを押さえつつため息だ。

「またか、ポメ。火事になるから気をつけろとあれほど言っただろう。いいか、今の姫様にとっては火事は命取りだ。あまりひどいと、ここへの出入りを禁止するからな」

「ひうっ」

出入り禁止と言われて、ポメが真ん丸な目をうるうるさせてリリエナを見上げる。

バーリーの言う通り、六歳児姿のリリエナには火事は命取りである。足はのろいし、力はないし、体力もない。早く大人になりたいけれど、こればかりは年月がすぎるのを待つしかない。

(わたしがもっと大人で、すっごい魔導士だったら、グードおじいちゃんの病気を治してあげることもできたのかな……)

リリエナは自分のぷくぷくとした小さな手を見つめて、はあ、とため息をついた。





「バーリー、午後から寮母さんにあげるキノコを取りに行きたいんだけど、いい?」