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「!……ミライさん!
良かった、来て下さったんですね!」

夢の配達人隠れ家の医療施設。
医務室の扉を開けると、ヒナちゃんが居た。健康診断開始時間はもうとっくに何時間も過ぎていて、呆れていたり、怒っていて当たり前なのに、僕を見てパァッと花が咲くように微笑ってくれる。

ごめんねーー。

彼女の気持ちには気付いていた。
明るくて、可愛くて、本当に良い子で……。君を好きになれたら、どれだけ良かっただろう。

でも、ダメだった。
そして更に、僕は君に酷い事をする。

「今すぐホノカさんを呼んできますね!ちょっと待ってて下さーー……」

「ーーヒナちゃん」

「っ……ーー!」

小さく、細い身体。
包み込むように、僕はヒナちゃんを背後から抱き締めた。

「ミ、ミライさ……」

「お願いがあるんだ」

「え、っ?」

「君にしか頼めない。
聞いてくれたら……。僕も、ヒナちゃんが欲しいものなんでもあげる」

悪魔のように、囁いた。

悪魔が天使への恋を続ける為には、こうするしかなかった。