「俺一人で何処まで出来るか分かりませんが、全力を尽くします。絶対にコハルさんを危険な目に遭わせたりしません!
っ……ですから、……ッ?コハルさん?」

床にポタッと落ちる水滴が見えて、俺は下げていた頭を上げた。
目に映るのは、泣いているコハルさん。

「っ……ごめん、なさいっ。う、嬉しくてッ……。
もう、絶対に無理だって思ってたからっ……嬉しくてっ」

嬉しいーー。

その一言が俺を救ってくれる。
絶対に間違いではないと、迷わずこの道を進める。

「ツバサさん、ありがとうございますっ……!」

とても嬉しそうに、コハルさんが微笑ってくれた。
この表情をもっと素敵な笑顔にしたい。俺の望みは、それなんだ。

「周りの事は何も気にせず舞台に集中して下さい。絶対に絶対に、上手くいきますから!」

「っ……はい!」

……
…………。

そして、千秋楽の公演が始まった。