「うんっ!信じてる……!!」

その言葉に、俺も笑顔で頷いた。

ジャナフに受け止めてもらって、蓮葉(レンハ)に背中を押してもらって……。そして、レノアに支えてもらった。

信じてるーー。

自分を信じてくれる人が居る。
自分で自分に自信が持てなくても、自分を信じてくれる誰かの為になら頑張ろうと思える。
自分を、信じてみよう、って思えるんだ。

……
…………。

「見ておったぞ〜?」

「!……蓮葉(レンハ)

レノアを乗せた馬車が去って行くのを見えなくなるまで見送っていると、背後からムッとした表情で現れたのは蓮葉(レンハ)。……と、その後ろで、顔を真っ赤にしているジャナフ。
どうやら、二人で隠れてずっと俺とレノアのやり取りを見ていたらしい。

「レノアめ〜大人しい女子(おなご)じゃと思っておったのに、なかなかやりおるわ!
ツバサ、屈めい!わしも反対の頬に接吻(キス)してやる!」

「!っ、や、やめて下さい〜蓮葉(レンハ)様!これ以上はボクの心臓が保ちません〜!!」

「はぁ?ジャナフ!何故にお主が照れておるのじゃあ〜!!」

盗み見していた事を怒ろうとしたのに……。そんな気が失せてしまう程の二人の賑やかさと明るさ。
俺が思わず「あははっ」て声を出して笑うと、それを見て二人もまた嬉しそうに笑ってくれた。

ーーもう、大丈夫だ。

二人の笑顔を見て、心からそう思えた俺は眼帯の結び目に手を持っていき、その紐を解くとゆっくりと左目を開けた。

その瞳に映るものが幸か不幸か。天国か地獄かは、俺にも分からない。
けど、自らがこの瞳を持って生まれて来た現実と意味に、ようやく向き合える気がした。

「……さぁ、行こうか。次の目的地に」

俺達三人は顔を見合わせて、笑って頷いた。

【片翼を君にあげる②-終わり-】
※3巻に続きます(^^)