っ、……覚えて、てる。
俺が狼達に命じて、セトをーー……ッ。

「……ツバサ」

「!!ッーー……。
……、あ……ご、めん……っ」

背後から声を掛けられて、過剰反応した俺はビクッと身体を震わせながら振り返ってジャナフを見つめた。
そんな俺を見てジャナフも一瞬驚いた表情をしたが、すぐに微笑んで言う。

「……行って、ツバサ」

「っ、ジャナフ……」

蓮葉(レンハ)様とレノアーノ様の居場所、"ツバサなら"分かるでしょ?」

ツバサならわかるでしょーー?
ジャナフのその言葉と表情は、まるで俺の持つ不思議な能力(ちから)に気付いているようだった。

「行って。
セトさんの事はボクに任せて……。ねっ?」

そして、ジャナフの瞳が言っている。
"大丈夫だよ"って、……。

その瞳を暫く見つめてて……。俺は深呼吸すると、ジャナフに頷いて立ち上がった。その後、視線を狼達に移して問い掛ける。

狼達(お前達)、俺を二人が捕らわれてる場所まで案内してくれるか?」

《いいよ〜》
《こっちこっち!》
《ついて来て!》

ジャナフのお陰で乱れていた心が落ち着きを取り戻す。

今はとにかく、蓮葉(レンハ)とレノアを助け出すーー!!

駆け出す狼達の後に着いて、オレはセトをジャナフに任せるとその場を後にした。