目を、覚ませ。

「……。
そんな持ち方じゃ危ない。教えるから、よく見て」

俺は、俺。
俺にしか護れないやり方がある筈だ、と思い直すと、自分がどう接してもらえたら嬉しいか、を考えた。

だから、俺は"普通"に接する事にした。
対等で居たい、と言う彼女の気持ちを大切にしてやりたかった。

「ほら、こうやって……。なるべく皮は薄く剥いてほしい」

突然口調を変えた俺に、ジャナフはとても驚いていた。
でも、そんな彼とは対照に蓮葉(レンハ)様の表情は次第に祖国に居た時の明るさを取り戻していく。「ふむふむ」と、頷きながら俺の手元を見る目は真剣。
そこには、初めての料理に必死になる、ただの1人の少女が居た。

「出来るか?蓮葉(レンハ)

「!ーー……っ。
当然じゃ!見ておれよ、ツバサ!」

俺が名前を呼ぶと、彼女はようやく飾らない笑顔で微笑ってくれた。