……婿?
……婿、って…………。
結婚する相手……。花婿さんの、事だよね???

頭の中で繰り返して、ボクは必死に理解しようとした。
ツバサを褒めてくれる蓮葉(レンハ)様の一言一言に「うんうん」と共感していたボクだったけど、その最後の一言は……。

絶対に、ダメーーーーーッ!!!!!

と、叫ぼうと思った瞬間。
さすがにその一言は蓮華国の国の人達からしてもダメみたいで、ザワザワと騒ぎになったあげく、世話係の中で1番身分が高そうなおじさんが必死に止める。

「レ、蓮葉(レンハ)様!何をおっしゃいますか!」

「ぬ?わしも間もなく十六じゃ!そろそろ婿を迎えねばならぬじゃろう?」

「それはそうですが!夫となる御方は蓮葉(レンハ)様と共にこの蓮華国を背負って頂く大切な使命がございます!この者では身分が……」

ツバサ(この者)は一応、御曹司、と呼ばれる血筋を持っておるぞ?跡継ぎにならなんだだけで、この者の国では一般の者より身分はある」

「っ、しかし……」

「おまけに……。この者はいずれ、夢の配達人白金バッジの一人になる者じゃ」

「!!っ……なんですと、ッ」

その一言で空気が変わる。
蓮葉(レンハ)様の最後の一言で辺りは再びザワつき、おじさんはハッとしてツバサを見た。
すると蓮華(レンハ)様はニッと微笑って、周りの人達に語り掛けるように口を開く。

「夢の配達人白金バッジ。
そう、皆も知っておる通り我が国が誇る瞬空(シュンクウ)と同じじゃ。
この者はその瞬空(シュンクウ)が認め、今回わしのアメフラシの儀式での護衛に選んだ者。そして本人も、現在白金バッジへの昇格を賭けた任務中じゃ。
……どうじゃ?充分に、わしの婿になるに値するであろう?」

蓮葉(レンハ)様にそう言われて周りはシーンとなり、意見したり文句を言う人は誰もいなくなった。

それだけ全ての事を万能に熟す何でも屋、夢の配達人の白金バッジであると言う事がすごいのだと……。また、ボクがノゾミさんの前で"オッチャン"と呼んでしまった瞬空(シュンクウ)さんがすごい人なのだと思い知る。

口を挟む人がいなくなると蓮葉(レンハ)様はご機嫌になり、後ろで手を組むと少し前屈みになってツバサの顔を覗き込む。そして、もう一度尋ねた。