「ねっ、ツバサ!どうかな?どうかなっ?」

新しい衣装を身に纏ってボクのテンションはMAX(マックス)。馬車の中での雰囲気の事など一瞬頭から飛んでしまい、ツバサの元に駆け寄るとくるっと一回転して見せた。
しかし、ボクはすぐにこの自分の行動を恥じる事となる。
背を向けていたツバサが振り返り、その彼を見た瞬間。ドキンッと胸が高鳴った。

「!……へぇ、いいじゃん。ジャナフ、似合うな」

ッ〜〜……いえいえ!!
貴方様の方がお似合いですからっ!!何か、調子に乗ってすみませんでしたっ!!

振り返ってボクを見て褒めてくれたツバサを見て、今すぐ土下座して謝りたい気分だった。
白地に、所々水色や金色、銀色が入ったその衣装は、おそらくこの国で巫女様の護衛を務める者が身に付ける衣装なんだろうけど……。
それはまるで、彼のために作られたのでは?、と言っても過言ではないくらいに似合っていた。

見惚れてしまって、暫く黙って見つめているとツバサは不思議そうに首を傾げる。

「ジャナフ?」

「……。
ツバサは、ホントに綺麗だねぇ……」

「はぁ〜っ」と、思わず溜め息を吐きながらボクは微笑った。
こんなに男性で白が似合う人、なかなかいない。絶対に彼の心が綺麗だから、こんなにも映えて見えるんだと思った。
でも、心からそう思って言ったのに、ツバサは少し俯いて苦笑いする。

「……ジャナフは、俺の事を良く言い過ぎだよ」

「!……え?」

「俺は……。綺麗なんかじゃ、ないから……」

「っ、……ツバサ?」

また、寂しそうな表情。
その表情を見ると、やっぱりボクは苦しくなる。
自分で力になれるかは分からないが、これは絶対に話を聞いてあげた方が良いと思った。

「ツバサ、あの……」

「ーーご準備はよろしいでしょうか?
当主の支度も整いました。どうぞこちらへおいで下さい」

しかし、タイミングが悪い。
戻って来た案内係の人に声を掛けられて、ボク達は神殿に移動しなくてはならなくなった。

ツバサは案内係さんに声を掛けられるとスイッチがON(オン)になったように表情が変わって、すぐに部屋を出て行く。
ボクもその背中をすぐさま追いかけて、後に続いた。

……
…………。