勉強しても訓練しても、ボクはいつも本番で半分の力しか出す事が出来なかった。
テストもイマイチ、運動もイマイチ……。良くもなければ悪くもない中途半端で、先生達は「悪くはないんだけどね」「頑張ってるんだけどね」って、苦笑い。
三人の兄貴達は勉強だったり、武道だったり、何かしら優れた才能があるのにどうして?
やっぱりボクだけ、母さんが違うから?
幼い頃は何で兄貴達がボクに冷たいのか分からなかった。三人はいつも一緒に行動しているのに、ボクだけ置いてきぼりで……。
そしたら、ある日言われたんだ。
『何処の女が産んだか分からない奴なんて、弟と思えるか。……薄汚い』
ーーああ、そっか。
だからボクだけ、こんな黒い髪に小麦色の肌、片目だけ黒いんだ。
兄貴達と違う容姿に、気付いていなかった訳じゃない。
でも、信じてた。頑張って、何か一つでも誇れる事が出来れば、何か役に立つ事が出来れば兄貴達に認めてもらえるって……。
そうなりたくて、ボクはーー……。
「ーーやってみようぜ!」
「……。え……?」
自分の暗い闇の中に入り込んで居たボクに、ツバサが言った。
俯きかけていた顔を上げると、彼は微笑ってボクの背後に行き背中を両手でバンバンッと叩く。
「その前に、ジャナフはまず柔軟な!
身体固すぎ!このまま始めたらすぐ怪我するぜ」
「ツバサ……」
「ほら、手伝ってやるから!まずは柔軟いくぞ〜!」
「無理、って……言わないの?」
「は?」
「ボクには無理だ、って……思わないの?」
ボクがそう言ったら、ツバサは不思議そうな表情をしてた。
でも、すぐに答えてくれる。
「そんなん、やってみなきゃ分かんねぇじゃん?」
「っ……」
「出来るかも知れないし、出来ないかも知れない。
でも、まずはやってみなきゃ分からない。だろっ?」
出来るとも、出来ないとも、ハッキリした答えをツバサはくれない。
初めて会った時も、自分の事を話したボクに「何て返したらいいのか、分からない」って言った。
……けど。それが、嬉しかった。