「っ……ホントに。だったら知らない方が、幸せだったかも知れませんのにね?」

「でも、期待して待っちゃう自分もいるんだよね?」

同じ境遇が分かり合えるから、悲しい出来事も寂しい気持ちも、何だか笑って話せる。
彼のお陰で、少し気持ちが軽くなっていた。

「ちょうど良い時間。
ジャナフ君、良かったら一緒にランチしません?」

「!……マジですかっ?」

私が誘うと、分かりやすいくらいにパァッと表情を明るくしてくれる。
ツバサ君とはまた少し違う優しさだけど、一緒に居ると心が浄化されていく気がした。

「ふふっ、マジ、です。
そして食事が終わったら、ツバサ君の代わりに今日は私が訓練して差し上げますわ」

「!っうう……。
そ、それは……遠慮しようかなぁ〜」

「何言ってますの!
貴方が強くなって、ツバサ君が戻って来たらしっかりと支えてあげて下さいな」

背中をバンバンッと叩いて気合いを入れてあげると、ジャナフ君は「ごほごほっ」と咽せた後に、思い出したように言う。

「ツバサ、大丈夫かなぁ……。
……。戻って、きますよね?」

瞬空(シュンクウ)との下剋上の後、「少し時間を下さい」と言ってツバサ君は休暇を取り、隠れ家を出て行った。
それから何の連絡もなく、いつ帰ってくるかも分からない。けど……。

「ーー大丈夫です。
だってツバサ君は、私達の夢、でしょう?」

私が笑顔でそう言うと、ジャナフ君も笑顔で頷いてくれる。

「はいっ!」

その笑顔を見て、私は思った。

彼もいつか必ず大物になる、とーー……。

そう、思ったわ。