それから2日後の夕方、私たちは彼の車で温泉デートへ出かけた。

おいしいハンバーグ屋さんで夕食を取り、ちょっとリッチな旅館の温泉に心身ともに癒される。

温泉からの帰りに小高い山の上にある展望台に上り、夜景を眺めた。

さあ、ここだ!ロマンチックな雰囲気に包まれて言うのだ!「結婚してください」と!

 そんなはずもなく、彼はただ「寒いから早く帰ろ」とだけ言って車中に戻っていった。

さて、いよいよお別れのとき。私たちを乗せた車は私のアパートの前に着いてしまった。

しびれを切らして私から切り出した。

「大事なこと言い忘れてない?」

 彼は大きくため息をついた。