俺がお前を夢の舞台へ

見る限りじゃ失投もほとんどないし、得点圏にランナーが進むことも少なかった。


だから大丈夫。


きっと勝てる。


ナインがグラウンドへ散っていく。


それを見るついでに、観客席を見てみたけど、やっぱり勇翔の姿はなかった。


もう来てくれないのかな…。


どうしてそんなに野球を避けるんだろう…。


「よし、三振!」


菜々子ちゃんが頬を緩ませてペンを走らす。


「早いね…すごい」


一人で投げなきゃいけないから、球数を使いたくないんだろう。


まるで職人のように簡単にアウトを作っていく。


それが八神蒼空というピッチャーだ。


あとアウト2つで勝ち。


一気に緊張感が高まる。