俺がお前を夢の舞台へ

カキーン!


左中間を真っ二つに割るツーベースヒットで、タローが余裕を持って帰還する。


1-6、ノーアウト2塁。


この回で勝ち切るしかない。
 

あと6点。


打席に立つのは和樹くん。


勇翔が1番気にかけていた後輩だ。


勇翔のおかげでいい方向に変わった。


「頼むぞー、和樹ー!」


勇翔の言葉に、和樹くんがチラッとベンチを見た気がした。


勇翔が1番悔しい思い、歯がゆい思いをしているはず。


皆それをわかってる。


勇翔のために、という思いが皆の中にあるんじゃないかな…。


蒼空のためにと頑張り続けた勇翔が、皆の心を動かしているんだと思うんだ。


「和樹くん…」


何でもかんでも来た球を振っていた和樹くんが、ちゃんとボールを見るようになった。


ちゃんと打者優位のカウントを作っている。