俺がお前を夢の舞台へ

あの無邪気な笑顔が見える。


見えるはずないのに。


球を跳ね返すあの爽快な金属音が聞こえる。


シュッという鋭く空気を切る投球音が聞こえる。


あぁ…。


蒼空に会いたい。


あの野球バカだった蒼空にもう一度会いたい。


会いたいよ蒼空…。


「彩絢さん……」


菜々子ちゃんにタオルを差し出され、はじめて自分が泣いていることに気づいた。


「無理しないでください…」


「…してないよ。ごめん、大丈夫だから」


無意識だった。


頭では蒼空と勇翔のことを信じているつもりなのに。


切り替えて練習に集中しているつもりなのに。


心がついてきてないのかもしれない。


おかしいよね…。


頑張ろうって決めたのに。


頑張らなきゃいけないのに。