俺がお前を夢の舞台へ

1年生でいきなりエースナンバーを背負って以来、ずっとその背中に“1”を背負っていた蒼空。


一度も誰にも譲らなかった。


上手くいかないこともあっただろうし、苦しいこともあっただろう。


それでも守り続けたマウンド。


幼い頃に描いた夢を、ずーっと追い続けていた。


衝突ばかりしていた勇翔と切磋琢磨しながら。


「アイツと約束した。橘を…蒼空を…甲子園に連れて行くって。アイツは約束を破る奴じゃない。俺が連れて行ってやるんだから、死んだりしねーよ」


信じる強さ。


勇翔からそれを感じた。


私にはない強さだ。


「すごいね、勇翔は」


いったいどれだけ心が強いんだろう。


こんな状況でエースナンバーを背負い、蒼空の生を信じ続ける。


私にはできない。


逃げ出したくなる。


何も考えたくなくて、現実から目を背けたくなる。