俺がお前を夢の舞台へ

勇翔が私の手を引き、自販機前のベンチに座らせてくれた。


大きな手に包まれ、少しだけ安心感があった。


「…勇翔は怖くないの…?不安じゃないの…?」


隣に座った勇翔を覗き込む。


勇翔は表情を変えなかった。


「怖いよ。不安だよ。当たり前だろ。でも、それを上回る信頼がある。アイツはこんなところで死なないって」


どうして。


「どうして勇翔はそんなに強いの…?」


羨ましい。


その心の強さが羨ましい。


「そりゃ、こんな図太い神経してねーと蒼空の代わりにエースナンバー背負えるかよ」


勇翔はそう言って笑った。


鞄の中から“1”がその顔を覗かせている。


「負けず嫌いの塊の蒼空が俺にエースナンバーを譲ったんだ。その結果を見ずにいなくなったりはしねーよ」