俺がお前を夢の舞台へ

そう思ったときには、目の前をストレッチャーが通過していた。


「蒼空!?」


ストレッチャーに乗っていたのは蒼空だった。


のたうち回りながら運ばれていく。


「蒼空…!!」


胸を鷲掴みにして、足をバタつかせている。


蒼空…っ。


ストレッチャーに近づこうとしたけど、看護師さんに止められてしまって叶わなかった。


蒼空が苦しみながら遠くに行ってしまう。


もう、会えない…?


「もう会えなくなっちゃったらどうしよう…っ」


座り込んだ床は氷のように冷たい。


そこへ、生温かい涙が零れ落ちては温もりを奪われていく。


すごく苦しそうだった。


見たこともない表情で、聞いたことのないうめき声をあげていた。