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「勇翔、今から時間ある?」
ミーティングが終わり、解散となってすぐ勇翔に声をかける。
「自主練しようと思ってるだけだけど、何か用?」
背番号を丁寧に折りたたみカバンにしまいながら言う。
「蒼空のお見舞い…行かない?」
背番号1を蒼空に見せたい。
勇翔がもつ背番号1を。
「…行っても話すことねーし」
“行かない”とは言わなかった。
少し前なら問答無用で断っていただろうに。
「エースナンバー背負ってマウンドに立つって宣言するだけしたら?蒼空も喜ぶと思うよ」
予選まであと1週間。
蒼空だって勇翔のことを気にかけているだろう。
「……5分だけな」
“行く”とは言わないのが勇翔らしい。
「素直じゃないなぁもう」
「うるせ。さっさと行って帰るぞ」
照れているのか、スタスタと校門に向かっていってしまった。



