「だから早く読んでって言ってたんだよ…?」
“ちゃんと1番背負って”
まるで弱気になっている勇翔を見越していたような文章だ。
「……余計なお世話だっつーの…。お前に言われなくたって1番背負うし、お前抜きで優勝してやんよ…」
目を赤くしてニッと笑い、私の腕からノートと背番号「1」を奪い取った。
「さすが蒼空さん……」
菜々子ちゃんが驚きを含んだ微笑みをこぼす。
「ね、勇翔の扱いよく分かってるよね」
これが幼なじみの絆。
不仲だろうと気に食わなかろうと、勇翔の一番の理解者は蒼空なんだろう。
勇翔の手に渡った「1」は輝いていた。
重み、怖さ、いろんなものが含まれているであろう特別な背番号。
それでも何よりも綺麗だったんだ。



