俺がお前を夢の舞台へ

茉優は本当に優しい。


しっかり者で、頼れるお姉さん的存在だ。


「ありがとね。でも…大丈夫。いつかは勇翔も話してくれるよ」


そう信じて声をかけ続けるしかない。


「じゃっ、いただきまーす」


最初は色褪せて見えたこのお弁当も、茉優と話していれば鮮やかに変わる。


「彩絢のお弁当、ホントに美味しそう」


「うん、美味しいよ。お母さん料理上手だから」


このお弁当は、昔から蒼空や勇翔に褒めてもらっていた。


蒼空も勇翔も私のお弁当のおかずを奪い合って喧嘩してたもんなぁ…。


懐かしいな…。


「私が彩絢ん家に産まれてたら、絶対太ってたよ」


そう笑う茉優のお昼ご飯は、小さいおにぎり1つだけ。