俺がお前を夢の舞台へ

「そこを何とか!!お願いします、彩絢さん!」


ガバッと頭を下げられ、どうしたらいいのか分からなくなる。


「あ、あの、頭上げて!」


菜々子ちゃんは頭を上げてくれない。


「どうしてもタローの夢を叶えたい。マネの私にできることなんてほとんどないから、できることは全力でやりたいんです」


「菜々子ちゃん……」


私と同じだ。


私も蒼空の夢を叶えたい一心で頑張っている。


それと同じように、菜々子ちゃんも彼氏でありキャプテンでもあるタローの夢を叶えたいんだ。


次がラストチャンスなんだとすがる思いが痛いほど理解できた。


「彩絢さんが勧誘できないんなら、私がやります。だからせめて紹介してください」


頭を上げた菜々子ちゃんの目は本気だった。


このチームはいつだって本気だ。


本気で甲子園を目指している。


「分かった。私が勧誘する」


部員を本気でサポートしたい。


チームを本気でサポートする。


そのために必要なことは、なんだってするんだ。