俺がお前を夢の舞台へ


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真っ白い建物がどっしりと構えている。


まるで、何でも受け入れると言わんばかりに。


ここで、何人の命が旅立っていったんだろう。


ここで、何人の命が助けられたんだろう。


蒼空は、これからどうなるんだろう。


見上げれば、真っ白な雲がゆっくりと流れ去っていく。


【蒼空の体調が落ち着いてきたわ。もしよかったら、お見舞いに来てやって?蒼空も喜ぶと思うから】


今朝、蒼空のお母さんから届いたメッセージを繰り返し読み直す。


病院に入る勇気が出ない。


蒼空にどんな顔して会えばいいんだろう。


勇翔は、不安がってる様子を見せるなって言うけど、そんなの無理だ。


無理して明るい顔したって蒼空にはバレる。


それに、私は蒼空の病気を勇翔から聞いただけ。


蒼空からは聞いていない。


どんな顔で病室に入ればいいの…?腕の中でオレンジ色の花束が揺れる。


“早く行け”と背中を押された気がした。