俺がお前を夢の舞台へ



勇翔の姿が見えたのは、それから10分ほど経ってからだった。


「勇翔…っ!」


ぼやける視界に映る勇翔を見るだけで、洪水のように涙が溢れてしまう。


「泣くなよ…」


「ごめん…っ。ホントにごめんなさい…っ!」


ちゃんと話さなきゃ…っ。


なんでこうなったか…っ。


「大丈夫だから。お前が泣いたって何も変わんねぇよ」


「でも…っ。私が悪いの…。私が……っ」


どうして鍵を掛けなかったんだろう。


どうして気づかなかったんだろう。


「ごめんなさい…」


怖くて勇翔の顔が見れない。


俯くことしかできず、アスファルトに色濃い水玉が増えていく。


「大丈夫だから。な?」


頭に手を回され、そのまま勇翔の胸へと引き寄せられる。