忘れようと蓋をしてもしつこく迫ってくる勇翔の言葉。


言われなくたって分かってんだ。


俺の行動は回り回って彩絢を傷つけるかもしれないことくらい、わかってる。


自分の夢と彩絢。


天秤にかけたとき、どっちが大切なんだろうか。


永遠に答えは出ない。


どっちも同じぐらい大事で、諦めることはできないんだ。





『打ったぁぁぁぁぁぁ!!星矢碧、サヨナラホームラーーーーン!!劇的!!星矢碧の一振りで、藤咲北高校の甲子園初優勝が決まりましたぁぁぁ!!!!』


初めて甲子園に行って見た試合が、今はプロで活躍している選手がサヨナラで優勝を決めた試合だった。


中継を録画して、何度も何度も見た。


あの高揚感、打った瞬間から全身に鳥肌が立つ感覚、大歓声の波。


球場全体が揺れ、地鳴りが起こっているようだった。