大きな荷物を下げて学校へ向かうマサシへ周囲の通行人たちは何事かと視線を向ける。


同じ制服を着ている生徒たちは今日はなにか行事がっただろうかと、気にしている様子を見せていた。


マサシはそんな中をできるだけ早足で、うつむいてA組まで急いだ。


「なんだよそれ」


普段はおとなしいマサシが大きな荷物を抱えてクラスに入ってきたことで、妙に目立ってしまっている。


一番最初に声をかけてきたのはスポーツが得意なタカヒロだった。


今日もこれからグラウンドへ向かおうとしていたのか、サッカーボールを小脇に抱えている。


「ゲームだよ」


マサシはボソリと返事をする。


「ゲーム?」


眉間にシワを寄せながらもどんなゲームか気になったのかタカヒロは教室から出ようとしない。


マサシが袋の中からボードゲームを取り出すのを待っているようだ。


「よ、よかったらやる?」


上目遣いにそうきくとタカヒロは一瞬嫌そうな顔をした。


ゲームは気になるけれど、マサシと一緒に遊ぶのが嫌なのかもしれない。