闇夜ヨルの恐怖記録2

口には出さないけれど、マサシはタカヒロのことを良く思っていなかった。


「チナちゃん。勉強教えてくれない?」


教室中央ではチナという女子生徒が他のクラスメートたちに囲まれるようにして、勉強を教えていた。


2年生の中でいつも1位2位の成績を争っている秀才だ。


マサシは机の中に手を入れて前の授業で戻ってきた小テストを取り出した。


点数は10点満点中0点。


少しは解答したのに、そのすべてを間違えていたのだ。


マサシは軽く舌打ちをしてテストをビリビリに破くと、ゴミ箱に捨てた。


女子のくせに頭がいいなんて生意気だな。


女子は少しバカなくらいが可愛げがあるんだ。


心の中で差別をして、チナを見下す。


マサシはチナのことも良く思っていなかった。


「あ、ヒデアキ君戻ってきたよ」


「本当だ! ヒデアキ君、私クッキー作ってきたんだぁ」


教室に入ってきた背の高いヒデアキを見た途端、女子生徒たちは騒ぎ出す。