その後、先生の家の前にはパトカーが止まり、先生が家から連れ出されていた。


クニヒコが見たとおり隠し部屋の奥から沢山の猫たちが出てきたようだ。


「君たちのおかげで猫の命は助かったよ、ありがとう」


最初に連絡した警察官にそう言われると少しだけ照れてしまう。


先生が持ち出したゴミ袋の中身はただのゴミで、猫たちは無事だったのだ。


そして数日後。


クニヒコとタカシの2人は猫殺しの犯人を特定したということで表彰され、それが全校集会で発表までされてしまった。


「すごいじゃん2人共!」


「見直したぞ!」


C組の教室へ入るとクラスメートたちが群がってくる。


クニヒコとタカシの2人は照れくさそうに頭をかいた。


どうして先生があんな事件を起こしたのかと言えば、日頃のストレスが原因だったそうだ。


2年連続で受験生を受け持つ担任として毎日残業をして、家に帰っても仕事づくめの生活をしていた。


そんな生活での唯一のガス抜きが猫殺しだったというわけだ。


先生がやったことはもちろん許されることじゃない。


だけどこれをきっかけに教師の労働状況について議論され、色々と変化していく兆しを見せていた。