先生は隠された部屋の中にはいると、ダンボールを床に置いた。


その部屋は四方が壁に囲まれていて真っ暗だ。


目を細めてみてもなにも見えなかったが、異様な悪臭が立ち込めていることには気がついた。


クニヒコはその部屋に入ることができずに、手前の書斎から様子を伺う。


その時だった。


ミャーミャー。


暗闇の中からとても小さな鳴き声が聞こえてきて息を飲んだ。


ミャーミャー。


ミャーミャー。


途端に夢の中に出てきた猫たちのことを思い出して、胸が張り裂けてしまいそうになる。


「ヤバイ、クニヒコ! 先生が戻ってきたぞ!」


タカシに手をひかれて転がるようにして窓から庭へと脱出した。


その拍子にメガネが落ちて音を立てた。


「どうだった?」


電信柱まで戻ってきて、タカシが聞く。


クニヒコは大きく頷いて警察官へと視線を向けた。


そして今見てきた光景について、説明したのだった。